本書は、「地方自治法制のパラダイム転換」研究会のメンバーによる研究会での報告をベースに、その後の動向も踏まえて執筆されたものです。
橋下徹氏と「大阪維新の会」が仕掛けた「大阪都構想」は、日本の地方制度改革の中で長らく積み残されてきた、府県と大都市の制度問題に刺激を与えました。しかし、肝心の「大阪都制度」の具体的な制度内容については、ほとんど説明されないままです。加えて「大都市地域特別区設置法」が制定されたものの、それは導入手続を定めただけで、大阪都構想の制度設計に踏み込むものではありません。一方、国の出先機関改革もいっこうに進展しないようです。
いったい「地方自治制度再編論議」の深層には何があるのでしょうか?
本研究会正式メンバーである新聞社の現役編集委員・論説委員が、現場の目を通して分析します。
目 次
はしがき
大阪都構想・府県大都市制度問題
青山彰久(読売新聞編集委員)
1 大阪ダブル選挙と大阪都構想
2 ローカルな問題か、ナショナルな問題か
3 基礎自治体、広域自治体、住民自治
4 ポピュリズム型政治の台頭
【質疑・討議】
【研究会報告以後の動き】
野田政権の地域主権改革
国分高史(朝日新聞論説委員)
1 野田首相の国会演説での地域主権改革の位置づけ
2 地域主権改革を進める野田内閣の体制
3 野田政権での地域主権戦略会議
4 2012年以降の動き
5 民主党政権の地域主権改革の評価
【質疑・討議】
【研究会報告以後の動き】
座談会 出先機関改革問題・大阪都問題
「地方分権改革」文脈での位置づけ
阿部昌樹(大阪市立大学教授)
人見剛(立教大学教授)
大津浩(成城大学教授)
木佐茂男(九州大学教授)
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