〔別冊2〕私たちの世界遺産 平泉から鎌倉へ 鎌倉は世界遺産になれるか?! |
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五十嵐敬喜(法政大学法学部教授)、佐藤弘弥(日本文化研究家) 編著 公人の友社 定価(本体1,800円+税) 2012年2月5日発行 |
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世界遺産の意義は、単に世界的に貴重なものを後世に残すというだけのものではない。 ユネスコ憲章前文に見られる通り、「戦争は人の心の中から生まれる」という認識の上に、これら貴重な遺産(人間と自然の営み)を恒久的に維持保存することによって、逆に戦争を起こさせないようにするという重要な役割を有しているのである。 しかし、このような平和への希求という価値を有する遺産は、何も戦争だけによって破壊されるわけではなく、災害によっても破壊される。今回の震災によっても多くの貴重な遺産が破壊された。この平和の文脈から言えば、このような災害から遺産を守るということも、非常に重要な仕事であり、それは現代の世界全体に安全や安心を構築し、持続可能な社会を構築するという大きな課題ともつながるのである。 このような観点から、もう一人の筆者である佐藤弘弥と私は、鎌倉登録の申請は、鎌倉市民ひいては日本と世界の持続可能性の構築にどのような意味を持つか、ということを幾度となく議論してきた。 (「はじめに」より) 目 次 はじめに 世界遺産シンポジウム「平泉から鎌倉へ〜鎌倉は世界遺産になれるか?!」 【基調講演】平泉から鎌倉へ ユネスコ世界遺産40周年と変革への課題 【第一報告】「平泉」の推薦とイコモスの評価 平泉・登録からの教訓 【第二報告】鎌倉の推薦書の骨子と問題点 新推薦書と鎌倉の山稜部 【第三報告】都市鎌倉を見る新視点 パネルディスカッション「平泉から鎌倉へ」 鎌倉の世界遺産としての価値はなにか?! 【論文】平泉と鎌倉 政治・文化史からの検討 【巻末資料】 資料1 鎌倉災害年表 資料2 世界遺産登録のための「顕著で普遍的価値の評価基準」 資料3 「武家の古都・鎌倉」の世界文化遺産推薦について 資料4 世界遺産暫定一覧表記載遺産 準備状況報告書 資料5 御成敗式目 <参考文献> あとがき |