〔別冊〕私たちの世界遺産 ユネスコ憲章と平泉・中尊寺供養願文 |
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五十嵐敬喜(法政大学法学部教授)、佐藤弘弥(平泉研究家) 共著 公人の友社 定価(本体1,200円+税) 2009年7月13日発行 |
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この願文の精神は、長い時代を越えて、第二次世界大戦終結直後の1945年に世界的な規模で採択されたユネスコ憲章と、実によく似通っているという点に着目したい。前者は前9年、後3年の役を契機として書かれた。 後者は第二次世界大戦の反省を踏まえて成立した国際条約だ。ふたつの成文を貫く精神は、二度と戦争を起こさないためにはどうしたらよいか、という恒久平和実現のための智慧そのものである。 本書では、この二つの文章を比較検討することによって、奥州という辺境の地とみなされていた平泉に花開いた黄金文化が、世界精神を文字通り体現していたことを証明してみたい。 2009年、平泉は世界遺産登録に向けて再アタックを開始した。しかしその中心となるコンセプトは前回とほとんど同じ『浄土世界』(前回は浄土思想)である。私たちは、この『浄土世界』という基本コンセプトで普遍的価値の証明をすることができるか、という問題についても考えてみた。平泉は『浄土空間』に尽きるのか否か、わたしたちは、この疑問を解かなければならない。 「序文」より 目 次 序文 「願文」は清衡が書いた平和宣言 泰衡の無血開城と無防備都市・平泉 〔対照表〕ユネスコ憲章・前文/中尊寺供養願文(朗読のための口語訳) 〔鼎談〕「願文」の価値と平泉・世界遺産 1 中尊寺供養願文を読む 2 平泉の世界遺産登録の条件を探る 3 平泉都市論 ●平泉・中尊寺・清衡年表 中尊寺落慶供養願文〔原文〕〔現代語訳〕 寺塔已下注文〔原文〕〔現代語訳〕 【資料・平和関係条約】 ジュネーブ条約/ハーグ条約/平和関連条約・年表 あとがき |