私たちの世界遺産 2 地域価値の普遍性とは 世界遺産フォーラム in 福山 |
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五十嵐敬喜、西村幸夫 編著 公人の友社 定価(本体1,800円+税) 2008年10月25日発行 |
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2008年に入って、日本の世界遺産にかつてない危機が訪れています。 7月、平泉がイコモスおよびユネスコによって「登録延期」されたこと、そしてかねてから世界遺産クラスとして推奨されてきた広島県福山市鞆の浦について、6月に福山市および広島県が国土交通大臣に対して、海をまたぐ橋をかけるために海を埋め立てる「公有水面埋立て免許」の認可を申請したことに続き、8月の福山市長選挙で、世界遺産を目指すという新人候補が、橋をかけると公言する現職の市長に大差で敗れたのです。 これらの事実は、文科省から各地で「まちづくり」に取り組んでいる多くの市民にまで、大きなショックを与えています。 そこで、本書では、第2回フォーラムの記録という形態を超えて、あらためて「鞆の浦」と「平泉」の特集を掲載しました。 世界遺産をめぐって今何が起きているのか、本書は日本で唯一の市民側からのレポートです。 目 次 はじめに 瀬戸内海宣言 第1部 シンポジウム記録「第2回 世界遺産フォーラム in 福山 ◆開会の挨拶 木曽 功(文部科学省国際統括官) 後藤太栄(高野町長) ◆対談 世界遺産登録とその後の課題について 西村幸夫(東京大学大学院教授) 中村俊郎(石見銀山資料館理事長) ◆パネルディスカッション「それぞれの挑戦」 地域の普遍的価値をどう考えるか 司会 後藤 昇(広島大学大学院教授) パネリスト 柏山泰訓(港町ネットワーク・瀬戸内代表) 松居秀子(鞆まちづくり工房代表) 藤原 平(財団公人義倉理事長) 大西健丞(ピースウィンズ・ジャパン総括責任者) コメンテーター 毛利和雄(NHK解説委員) 第2部 鞆の浦 世界遺産実現と活力あるまちづくり 鞆の歴史文化遺産保全への道筋 前野まさる(東京芸術大学名誉教授・日本イコモス国内委員会委員長) 鞆の世界遺産訴訟の経過と展望 日置雅晴(弁護士) 鞆のまちの細やかな魅力と活力あるまちづくりへの文脈 「世界遺産」の裾野として 中島直人(東京大学助教授) ◆対談 鞆と地方分権〜海は誰のものか。国?〜 五十嵐敬喜(法政大学法学部教授) 松居秀子(NPO法人「鞆まちづくり工房」代表) 第3部 平泉以後の世界遺産を取り巻く状況 平泉の登録延期と鎌倉の世界遺産登録事業 玉林美男(鎌倉市世界遺産登録推進担当) 石見銀山および平泉の総括 五十嵐敬喜 ◆対談 世界遺産への戦略 五十嵐敬喜×後藤太栄 |