地域ガバナンスシステム・シリーズ No.8
財政縮小時代の人材戦略
多治見モデル
龍谷大学地域人材・公共政策開発システム オープン・リサーチ・センター(LORC) 企画
大矢野 修 編著
定価(本体1,400円+税)
2007年12月20日発行
多治見モデル 多治見市ではこの10年、「多治見を変える」をスローガンに、徹底した市民参加、情報公開を基礎に、精力的に政策・組織改革のとりくみがおこなわれ、その一環として「多治見市人材育成基本方針」(2000年)が策定された。多治見市で使われている言葉でいう「三位一体改革」である。

三位一体改革とは、実現可能性をもった「総合計画づくり」を行政経営の根幹にすえ、計画(政策)主導によって行政活動全体を制御しようとする手法の確立、それを効果的・効率的に推進するための「行政改革」(組織改革)、またそれを背後からささえる「人材育成方針」を一体とした改革プログラムを意味している。新しい発想によるとりくみとは、この三位一体改革をさしてのことだが、総合計画を起点に、それを組織改革、人材育成に有機的につなげる多治見市の試みは、分権改革と財政危機の同時進行という困難な時代における人材育成・能力開発のあり方、方向性を示唆しているようにおもう。

本書は、上記「三位一体改革」の設計とその運用にかかわってきた多治見市の職員による執筆を中心に、編者による外部からの視点を加味して構成されている。本書のタイトルを「多治見モデル」としたが、多治見の総合計画による行政全体の制御という戦略と、その戦略を基底で支える「人材育成・能力開発」は、いち自治体の試行にとどまらず、今後、日本の自治体を<変える>うえで不可欠になるであろう戦略プログラムの典型が示されていると考えたからである。

本書がひろく自治体における人材育成・能力開発のとりくみの参考になれば幸いである。

(「はしがき」より)

目 次

はしがき

T章 自治体改革における人材育成の位置づけ
 1 三位一体改革としての人材育成
 2 情報公開・市民参加・職員参加のシステム構築
 3 施策マトリックス

U章 運用実績からみた課題
 1 制度の検証
  (1)目標管理・人事評価システム
  (2)グループ制をめぐる課題
  (3)グループ制における管理職の位置・役割
 2 職員の二極化は避けられないか

V章 地域社会の構造変化と職員の新たな能力像
 1 市政基本条例の意義
 2 施策・事業の縮小時代における職員の能力像
 3 公務の担い手の多様化と職員の公的責任

W章 新たな人事政策と職員研修改革
 1 人材育成の推進体制と個別戦略
 2 研修改革に向けて
 3 まとめ


X章 「多治見モデル」の先駆性について
 1 一冊の本から新鮮な驚きが
 2 多治見市総合計画の卓越性 五つの特徴
 3 主要会議の位置づけ・役割・決定ルールの明確化
 4 「施策マトリックス」と「目標管理」の連結
 5 自立(自律)した地方政府への離陸、新たな挑戦
 6 「多治見市人材育成方針」の意義

〈資料〉第2次・多治見市人材育成基本方針



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