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自治基本条例を制定した自治体は、全国で90前後に達しているようです。
制定の動機は、市町村合併の議論を経て自治体運営における「自律」の規範とその制度化の必要性を強く認識するようになったもの、従前から制度整備に努めそれをふまえて制定に至ったもの、流れに乗り遅れまいととりあえず制定を急いだもの、などさまざまです。
基本条例制定の提案の主体は首長が多いのですが、なかには市民や議会の主導で制定する自治体が散見されるのも、最近の特徴の一つです。
これだけ制定自治体の「量」が増えてきますと、そろそろ、その「質」が問われなければなりません。
数ある量のなかから優れた自治基本条例が登場し、その秀でた条例に牽引されて後続自治体の条例レベルが向上していくという成長の構図を考えると、レベルの高い条例とはどのようなものか、その見極めが重要となってきます。
その意味で、多治見市の市政基本条例と栗山町の議会基本条例は、自治基本条例の次なる段階への進化に向けて、画期的な意義を有しています。
本書は、筆者の2001年以降の自治基本条例と議会基本条例に関する講演録などをまとめたものです。
ニセコ町から栗山町、多治見市へと至る基本条例実践の7年を総括し、新たな段階への進化を考えます。
目 次
プロローグ ニセコ町「基本条例」が開いた扉
一 自治の経験と基本条例の展望
1 戦後自治五十年の教訓
2 発展を支えた諸要因
3 自治体政策の変化
4 自治システムの整備
二 自治基本条例の理論と方法
はじめに 自治基本条例時代の到来
1 自治基本条例論の系譜
2 自治体はどう運営されているか
3 自治基本条例の今日的背景
4 自治基本条例の意義
5 生ける基本条例の六原則
6 条例制定過程の四課題
おわりに 運動化と制度化の無窮動
三 議会基本条例の意義と展開
はじめに 栗山町というところ
1 四年半にわたる議会改革
2 議会基本条例の構成と特色
3 議会改革はなぜ遅れたか
4 議会基本条例の課題と展望
おわりに 実践と理論の出会い
エピローグ 第二ステージに向かう自治基本条例
条例編
1 神原私案[札幌市自治基本条例案]
2 ニセコ町まちづくり基本条例
3 多治見市市政基本条例
4 栗山町議会基本条例
あとがき
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