福島大学ブックレット『21世紀の市民講座』 No.6
今なぜ権利擁護か
ネットワークの重要性
高野範城 新村繁文 著
定価(本体1,000円+税)
2010年3月20日発行
これまで政府は、企業中心の年功序列・終身雇用・家族賃金・福祉厚生面での充実を基礎とする「企業依存型福祉体制」を前提に、ひたすら企業活動の保護育成策、成長持続政策(景気対策)をとってきました。そして、本来果たすべき公的責任としての社会保障・社会福祉面での計画的・体系的な施策の展開を怠ってきたのです。
企業のグローバル化のなか、「企業既存型福祉体制」の恩恵への期待可能性がすっかり奪われてしまった現在、きわめて貧困な公的福祉体制しか存在しないため、持てる者と持たざる者との格差は目に見えて拡大し、貧困層の存在が顕在化しはじめています。
また、新自由主義的構造改革の結果、福祉分野も「市場主義化」されました。
高齢者や障がい者など、いわゆる「社会的弱者」が福祉サービスの利用者としてその「購入者」の立場に置かれた場合、お金を持っていさえすれば望むだけの福祉サービスを享受できますが、「持たざる者」は、支払える範囲の福祉サービスを利用できるにとどまり、福祉サービス利用を抑制せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
本来まずもって福祉の対象であるべき「持たざる者」は、「持てる者」とくらべて、福祉サービス利用ないし福祉へのアクセスという面で圧倒的な格差の下に置かれています。
彼らの生活・生存を確保し、自立した社会生活を維持していくためにも、「権利擁護」のための支援が必要不可欠なのです。
目 次
〔序言〕
「福祉」のパラダイム転換と権利擁護
新村繁文(福島大学行政政策学類教授)
1 日本には一度たりとも「福祉国家」は成立していない
2 福祉の世界における「構造改革」と権利擁護
〔基調講演〕
「社会的弱者」の権利擁護とネットワークの不可欠性
高野範城(弁護士)
1 今なぜ権利擁護か
(1) 措置から契約への転換
(2) 権利擁護の不明確性
(3) 市場原理社会で
2 権利擁護とは何か
(1) 権利擁護とは高齢者・障がい者の人権を護ること
(2) 権利を護るとは
(3) 財産管理の大切さ
(4) 施設等の任務
(5) 成年後見利用支援事業の活性化
3 おわりに
(1) 福祉の従事者は総合的な専門家であれ
(2) 社会福祉協議会の役割
(3) 老スクールの取り組み〜人材育成
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