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村や町が消滅の危機にあるという。そして、国が鳴り物入りで、また、地方への支援を始めている。並んだ施策は、これまでやってきたこととよく似たものが多い。地方に関心を寄せてきた人は、こうした施策がうまくいかないことをどこかで感じているに違いない。
国が地方を世話する施策は、山のように行われてきたのに、うまくはいかなかった。東京など大都市への集中が進む一方で、地方の衰退は止まることがなかったのである。
こうした中で分権改革が始まった。国主導ではうまくいかないので、地域が自分自身で考え実践するような仕組みを作ろうということだった。さらにまた、分権を進めるには市町村の規模が小さすぎるというので、大規模な合併が行われた。加えて税源が移譲されるという口実で地方財源が圧縮され、さらには県の仕事が大量に市町村に移譲された。「分権改革」は大きな成果を収めた、かのようである。
これらの挙句の果てが、「自治体消滅」なのである。もはや、受け入れるしかないのだろうか。それとも、これまでの施策に何か、間違いがあったのか。あるいは、そのどちらでもない、何かが地域で起こっているのか。
地域のあり方をもう一度、最初から考え直す時が来ている、と私は感じている。これから始まる私のレポートを読みながら、読者のみなさんもぜひ一緒に考えてほしい。
(「序章」より)
目 次
序 章
第1章 合併自治体を行く
第2章 都市中心部への集中化をみる
第3章 復興地域の未来
終 章 地域を救うのは誰か
あとがき
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