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今号の特集は「格差社会」です。
「穏やかな拡大基調」が一転、「減速」となりました。
日本銀行が4月に発表した3カ月に一度の「地域経済報告」によると、全国9地域のうち8地域の景気判断が悪化しました。05年4月に調査を始めて以来、判断が「減速」とされたのは初めてのことです。
直近の完全失業率は7カ月ぶりに4%台に乗り、有効求人倍率も全国平均で0.54倍となり、雇用情勢の厳しさを数字が示しています。就業者数6430万人の3分の1が非正規就業者です。
地方でも、好況の愛知県や三重県などに比べると、北東北・北陸・四国地方の低迷が著しい状況です。経済活動の強弱は地価動向にもはっきりと表れ、大都市圏の地価は上昇率が鈍化しましたが、不況にあえぐ地域は地価の回復から取り残されたままです。
国が用意した「地方再生対策費」は、本来の地域おこしから財政再建に充てる事例が目立ち、格差の深刻さを浮き彫りにしています。
かつてもてはやされた国民生活の「総中流時代」は、明らかに崩れたのです。
目 次
特集:格差社会
格差社会の現状と民意
北海道大学大学院法学研究科教授 山口二郎
深刻化する経済格差
東京福祉大学大学院教授 水谷研治
個体識別と生活格差
熊本大学文学部教授 徳野貞雄
インタビュー
経済同友会副代表幹事・地方行財政改革委員会委員長、アサヒビール代表取締役兼CEO
池田弘一
「新しい社会を作ろうとしたら、答えは“地域主権型”。地方分権改革の推進しかないということが分かった。そちら側に舵を切るのが政治の責任、国民の判断だ」」
【文化企画】
「地域文化のちから」第3回文化力シンポジウム
文化の多様性と地域の課題
―日本列島には世界の生きた文明が宿る
パネルディスカッション
地域振興と文化―その実践を話す
静岡文化芸術大学学長 川勝平太
三重県立相可高等学校経論 村林新吾
三重県政策部長 坂野達夫
(司会)四日市大学総合政策学部教授 岩崎恭典
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