|
今号の特集は「限界集落」です。
65歳以上の高齢者が住民の半数を超える集落を想像してみたことがあるでしょうか。
山奥・中山間地で清流を守りながら下流域の都市生活に欠かせない「水」を供給してきたのは、山間部の点在する集落に住むひとたちです。ところが、この中山間地への関心がきわめて希薄になり、ムラの消滅が連鎖的に見られる危機的状況が迫っています。
全国1800の市町村のうち、過疎地域自立促進特別措置法が定める過疎地域に指定されている775市町村を対象とした国土交通省の調査によると、限界集落は7873集落。その3分の1が消えてなくなる恐れがあるといいます。
これらの集落がある自治体は「水源の里」を守ろうと横の連絡を強めていますが、政治の関心は大きくありません。学者の中にさえ、さっさと見切りをつけて都市近郊への移転を当たり前のように主張する声があります。
限界集落には、再生のエネルギーが残っています。
その火種を絶やさず生気を蘇らせる力が、今ほど求められている時期はありません。
目 次
特集:限界集落
「限界集落」の実態と政策課題 ―生き残りをかけた地方財政改革と第三セクター
明治大学農学部教授 小田切徳美
限界集落の光と陰
民族研究家 結城登美雄
「ふるさと、失うまい」―九州の限界集落を歩いて
西日本新聞社地域報道センター記者 池田郷
インタビュー
前福島県矢祭町長
根本良一
「改革というのは、矢祭町がやってきたことではない。役場を本来あるべき姿に戻し、それが有効かどうかというときに改革になる」
【文化企画】
「文化」は、地域再生の力となるか?
―地域自立への可能性を考える
静岡文化芸術大学文化政策学部教授 阿蘇裕矢
自治体文化政策と地域文化
―幾つかの事例とともに
帝塚山大学大学院法政策研究科教授 中川幾郎
|
|