地方自治ジャーナルブックレット No.50
良心的裁判員拒否と責任ある参加
市民社会の中の裁判員制度
大城 聡 著
定価(本体1,000円+税)
2009年9月10日発行
「良心的裁判員拒否」とは、人を裁く重みを感じた者が、自らの心に真剣に問いかけた結果として、自分は人を裁くことはできないと思った場合、その人が裁判員になることを拒むことです。
人を裁くことの重みを感じるということが1枚のコインだとすれば、そのコインの表が「責任ある参加」であり、裏が「良心的裁判員拒否」です。
この二つは表裏一体であり、どちらも人を裁くという重みを正面から受けとめるものです。
良心的裁判員拒否という選択肢があれば、人を裁く重みを真剣に考えて、責任をもって参加するかそれとも拒否するか、一人ひとりが主体的に選択し、行動することになります。
裁判員制度が刑事裁判を良い方向に変革するものになるためには、市民が裁判員制度に主体的に参加することが不可欠です。
もし大半の人が義務だからというだけで裁判員候補者として裁判所に呼び出され、選任されて裁判員になったとすれば、審理において主体的な参加というのは期待できないでしょう。
良心的裁判員拒否という選択肢があることで、裁判員制度と自分との関係をごまかすことなく考え、主体的にかかわる機会が生まれるのです。
その意味で良心的裁判員拒否という選択肢の存在が、責任ある参加を生み出すといえます。
人を裁く重みをごまかさずに、良心的拒否することは道徳的に悪いことではありません。むしろ裁判員制度にとって積極的な価値を生み出すものなのです。
目 次
第一章 人を裁く重みを正面から受けとめる
第二章 刑事裁判の最大の使命は冤罪を防ぐこと
第三章 良心的裁判員拒否の可能性
第四章 選任手続の中での良心的裁判員拒否
第五章 裁判員になった後の良心的拒否
第六章 市民社会の中の裁判員制度
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